2014年7月2日水曜日

かわいい闇




バンドデシネの「かわいい闇」を読んで驚きました。一見するとジブリ作品の絵コンテのような水彩漫画ですが、なかみはとても子供向けではない。すべてが夢であったなら、と祈ってしまいそうな話。とっても大好きですが、二度と読みたくないと思ってしまいます。だいぶネタバレします。
少女の死体とかわいいキャラクターたちが表裏一体のように感じますが、同じ線上に立っています。最初はなんとなしにありきたりなキャラクターが、不思議の国のアリスのようにどこからともなく落下し、さらにさまざまなかわいい小さなキャラクターが登場するのですが、そのキャラクターが生まれてきたのは少女の死体のなかから。その少女は主人公の女の子でもあります。最初は死んだことに気づいてない少女が、小さなキャラクターとして登場しているのかと思いましたが、他のキャラクターたちも少女に違いないのです。
書いてて混乱しますが、そのキャラクターのなかにもヒエラルキーが存在し、そこからあぶれたりドジを踏むとあっけなく死んでしまいます。そのことに他のキャラクターはなんの疑問も抱かないし、そのままの事実として受け止めます。そこがナントモ気持ち悪く、かわいい造形との差に嫌気がさします。何が一番嫌かというと、そのキャラクターたちの大半は少女の死体から遠くに離れようともしませんし、死体だと気づいていないことです。
主人公は大男(主人公からしたら)と出会いそこで借りぐらしのアリエッティように暮らしはじめます。その男は少女(主人公でもある)の親かもしれませんし、少女を殺した人物かもしれません。主人公はその男に強い共感を抱いて終わります。絵も話も構造も全て好みですが、ナントモ咀嚼するのに時間がかかりますね〜〜〜。本当に良いですが、気持ちがわるいです。ですが良いです。

本屋でかわいい闇の隣にいたリトルニモは、夢であったなら、というより夢じゃなかったら現実だったらと思うような本です。ニモはどんな冒険を夢の中でしても、1ページで必ず目が覚めるところが良いです。

パプリカ、ビューティフルドリーマー、インセプション…他にも夢を題材とした作品がありますが、寝てみる夢と偶像をみる夢とある場合、前者が上記の作品、後者が千年女優であると思います。夢というより幻想です。というよりただの今敏ファンです。
そのような夢の話に強く惹かれます。

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